WELLNESTRUST / 衛生講話
声をかけ、話を聴き、適切な支援につなぐ
ラインケアは、上司が部下の病気を診断することではありません。普段との違いに気づき、話を聴き、仕事の負担を調整し、必要な支援につなげる取り組みです。10月10日の世界メンタルヘルスデーを、日頃の対応を確かめる機会にできます。
上司ができるのは、仕事と相談の環境を整えること
診断を急がず、観察した事実を出発点に。
- 遅刻や欠勤、仕事の進み方など、普段との変化に気づきます。
- 病気かどうかの判断や治療は、医師などの専門職につなぎます。
一つの変化だけでメンタル不調と決めつけないことが大切です。本人の話を聴き、業務上の困りごとや支援が必要な状況を整理します。
「いつもと違う」を具体的に捉える
印象を、日時と行動の記録に置き換える。
- 例:今週は、これまでになかった遅刻が続いている。
- 例:普段できていた確認が抜け、本人も困っている。
「やる気がない」「性格の問題」といった評価ではなく、実際に見聞きしたことを記録します。周囲のうわさを広げず、記録の閲覧者も限定します。
最初の声かけは、事実と気づかいから
人前を避け、短く話せる機会をつくる。
- 例:「最近、帰りが遅い日が続いているね。仕事で困っていることはある?」
- 今すぐ話せない場合は、別の時間や相談相手を提案します。
これは声かけの例文です。病名を尋ねたり、話したくない私生活を無理に聞き出したりする必要はありません。場所とタイミングにも配慮します。
話を聴くときは、結論を急がない
助言する前に、本人が何に困っているかを確かめる。
- 途中で評価せず、分かったことを短く言葉にして確認します。
- 「自分も同じだった」「気にしすぎ」で話を終えないようにします。
すべてに賛成する必要はありません。ただし、事実確認や仕事の指導と、本人のつらさを聴く時間が混ざると話しづらくなります。必要なら機会を分けます。
仕事の負担を、具体的に確認する
量、期限、役割の曖昧さなど、変えられる点を探す。
- 仕事が集中している、優先順位が不明、相談先がないなどを確認します。
- 期限や担当、応援の入れ方を、人事などと相談します。
本人だけに工夫を求めず、職場側で変えられる条件を検討します。その場で実現できない約束をせず、誰がいつまでに確認するかを決めて伝えます。
上司だけで抱え込まない
産業医・保健師・人事など、職場の相談先へ。
- 相談の目的と、共有する情報の範囲を本人に説明します。
- 本人が相談をためらうときは、上司自身が対応を相談する方法もあります。
誰にでも詳細を伝えるのではなく、必要な支援につなぐための共有に絞ります。生命や身体に差し迫った危険がある場合は、通常の面談予約を待たず、職場の緊急対応手順に従います。
秘密を守ることと、必要な連携を両立する
「絶対に誰にも言わない」とは約束しない。
- 情報を共有する必要があるときは、相手と目的を説明します。
- 健康情報は、社内の取扱規程に沿って必要な範囲で扱います。
本人の意思を尊重し、正当な理由なく周囲へ話さないことが基本です。緊急時など、通常と異なる扱いが必要な場合もあります。判断に迷うときは、所定の責任者や産業保健スタッフへ相談します。
相談した後にも、確認の機会をつくる
次に話す時期と、困ったときの連絡先を決める。
- 合意した業務調整が実行できているか確認します。
- 体調や仕事の状況が変わったら、専門職と再検討します。
面談に行ったから解決とせず、実際の仕事がどう変わったかを確かめます。復職後の対応は、本人・人事・産業医などで共有した支援計画に沿って進めます。
場面で考える:相談を断られたとき
例:「大丈夫です」と言うが、遅刻とミスが続いている。
- 本人を責めず、心配している具体的な変化を伝えます。
- 上司から専門職に対応方法を相談し、次の確認機会を決めます。
本人の同意や情報の取扱いに配慮しながら進めます。自分一人で休職や就業可否を決めず、社内の手順に沿って必要な判断につなげてください。
自分の職場の相談経路を確認
上司の次に、誰が支えるかを明確に。
- 通常の相談先、担当者不在時の窓口、緊急時の連絡先を確認します。
- 講話後に一つ、仕事の負担を減らす改善を検討します。
この講話は一般的な初動の考え方です。個別の診断、休職・復職や就業可否の判断を代わりに行うものではありません。実際のケースは自社の手順と専門職の助言に沿って対応します。
講話資料をPDFで読む
衛生委員会や職場での読み合わせに。Web本文とあわせてご活用ください。
保存・印刷は、PDFを開いた画面のメニューから行えます。職場の連絡先や対応手順を補ってお使いください。本文をテキストで読む場合は、このページをご利用いただけます。