このページで分かること
- 長時間労働が、なぜ自由時間と睡眠を削り、からだとこころに響くのか
- 残業時間と健康障害のリスクの目安
- 疲れに気づき、回復し、相談するためにできること
仕事ができて頼りにされている人ほど、「自分がやったほうが早い」「まだ大丈夫」と、疲れを後回しにしがちです。周りからも元気そうに見えるので、気づくのが遅れます。
このページでは、忙しい時期が続くときに、からだとこころの健康をどう守るかを、国が示している目安をもとに整理します。
働く時間が長くなると、自由時間と睡眠時間が減る
残業や休日の仕事が増えると、食事、家事、通勤などの時間を差し引いた後に、休養や睡眠に使える時間が少なくなります。通勤時間や家庭の事情にも左右されるため、残業時間だけで睡眠時間を推定することはできません。
勤務時間だけでなく、帰宅から次の出勤までに休める時間があるかを確認しましょう。
仕事から離れる時間と、十分な睡眠の機会を確保するには、本人の生活習慣への助言に加えて、業務量や人員配置、勤務間隔の見直しが必要です。
長時間労働の基準を「安全ライン」にしない
脳・心臓疾患の労災認定基準は、発症した病気と業務との関連を判断するための基準です。一定時間以内なら健康上安全、という意味ではありません。
認定基準では、発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月の平均で月80時間を超える時間外労働は、業務と発症との関連性が強いと評価されます。これに至らなくても、労働時間以外の負荷を含めて総合的に判断されます。職場では数値に達するのを待たず、疲労や不調、働き方の変化に対応します。
こころへの影響
長時間労働は、こころの不調の重要な要因の一つです。疲れがたまると、寝つけない、夜中や朝早くに目が覚める、やる気が出ない、集中できない、イライラする、といった変化が出ることがあります。こうした変化が続く場合や、生活・仕事に支障が出ている場合は、期間にかかわらず早めに相談してください。
時間だけではない「疲れのもと」
同じ労働時間でも、働き方によって体への負担は変わります。休日のない連続勤務、勤務と勤務の間が短い勤務、深夜や不規則な勤務、出張の多さ、責任の重さや緊張の続く仕事、暑さ寒さや騒音なども、負担を大きくします。
自分の疲れを確かめる
厚生労働省のサイト「こころの耳」にある働く人の疲労蓄積度セルフチェックで、最近1か月の疲れのたまり具合を確かめられます。結果は自分だけが見るもので、会社に届くことはありません。ご家族用のチェックもあります。
疲れを回復させるために
- 必要な睡眠時間を確保する:成人は6時間以上を目安に、個人に合う睡眠時間を確保し、休養感も確かめます。休日の長い睡眠だけで、慢性的な睡眠不足の影響がすべて解消するとは限りません。
- 仕事から離れる時間をつくる:休みの日や夜は、仕事の連絡を見ない時間を決めます。
- 休みをきちんと取る:年次有給休暇は、元気なうちに計画して取ります。
- 早めに相談する:疲れや不調が続くときは、産業医や社内の相談窓口に相談します。
会社の仕組みを使う
時間外・休日労働が月80時間を超え、疲れがたまっているときは、本人が申し出れば、医師による面接指導を受けられます。会社には、働く人の労働時間を把握することや、年次有給休暇が年10日以上付与される労働者が、少なくとも年5日は確実に休めるようにすることも義務付けられています。
周りの人ができること
頼られている人ほど、自分からは言い出しません。「最近、帰りが遅いね」と声をかける、休暇中や夜間の連絡は急ぎでなければ控える、「手伝えることある?」と聞いて仕事を一人に任せきりにしない。こうした周りの気づかいが、本人を守ることにつながります。
関連する衛生講話
睡眠環境や生活習慣を具体的に確認したいときは、夏の快眠習慣もご活用ください。
一次資料:厚生労働省・脳・心臓疾患の認定基準、健康づくりのための睡眠ガイド2023。2026年9月29日確認。
衛生委員会や朝礼で使える月ごとの話題は、衛生委員会・衛生講話のネタ帳(話題カレンダー)にまとめています。