ストレスチェックの始め方

会社・実施者・事務担当の役割を整理する

ストレスチェックを始めるには、会社で準備・調整する仕事、専門職が確認・判断する仕事、回収や集計などの事務を組み合わせます。実施者業務と事務をまとめて外部に頼む方法も、すでに契約している医師等と事務サービスを組み合わせる方法もあります。

まずは自社の人数・実施時期・受検環境を整理しましょう。産業医がいない会社も、実施者を含めて依頼できるサービスから検討できます。

このページでわかること

自社の人数・時期・受検環境を整理する

50人未満の事業場への実施義務の拡大は、2028年4月1日からです。すでに義務の対象である常時50人以上の事業場では、年1回の実施が必要です。

見積もりを頼む前に、次の6点をメモします。未定の項目は、未定のままで構いません。

項目 確認する内容
事業場 拠点・所在地、人数、人数を確認した日
実施時期 希望月と受検期間の目安
受検環境 紙かWebか、従業員のメールアドレスや端末の状況
既存の契約 産業医、医師、健診機関等への依頼状況
社内窓口 準備・契約・連絡調整を進める部署や担当
委託したい範囲 実施者、事務代行、システム利用などの希望

整理した内容は、自社で使っているメモや資料に残せば十分です。

パート・派遣労働者などの受検対象者を確認する

「会社が義務の対象かを確認する人数」と「会社がストレスチェックを実施する対象となる労働者」は、数え方が異なります。50人以上かどうかの判断では、継続して雇用するパート・アルバイトも含めます。

個々の受検対象者は、原則として期間の定めのない契約、または1年以上の雇用が予定・継続される契約で、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であることなどを確認します。派遣労働者への実施義務は派遣元にあります。一方、派遣先の事業場が50人以上かを判定するときは、受け入れている派遣労働者も人数に含めます。雇用形態の名前だけで決めず、契約と勤務条件を整理して委託先と確認してください。

会社・実施者・実施事務従事者の違い

制度上の「実施者」は、専門的な確認・判断を担う人の呼び名です。実施者を誰にするか、配布や集計をどのような体制で進めるかを、それぞれ確認します。

役割 主な仕事
会社側の実務窓口 社内の準備、人数や日程の整理、委託先との契約・連絡調整等を進める
実施者 質問票や判定基準の検討、結果の確認、面接指導が必要な方の判断等を担う専門職
実施事務従事者 実施者の指示のもとで、配布・回収・集計・結果通知等の事務を担う

同じ外部機関に、実施者業務と事務をまとめて依頼できる場合もあります。会社の連絡窓口と、個人の回答・結果を扱う担当者は、同じとは限りません。

ストレスチェックの実施者には資格要件があり、医師・保健師のほか、原則として所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師が担います。面接指導が必要かを判断する業務と、実際に医師が面接指導を行う業務は分けて考えます。

解雇・昇進・異動について直接の権限を持つ監督的地位の人は、対象となる従業員の健康情報を扱う実施事務に従事できません。資格がある人にも人事上の権限による制約があります。一方、社長が準備を進めたり、人事担当者が契約の窓口になったりすることまで禁じられているわけではありません。

産業医がいない場合・既存の医師がいる場合の進め方

初めての会社では、次のどちらを希望するかから考えると整理しやすくなります。

  • 実施者と事務をまとめて依頼する:実施者を含むサービスを探し、会社に残る作業を確認する。
  • 既存の医師等と事務サービスを組み合わせる:実施者を依頼できるかを医師等に確認し、必要な画面・資料・連絡方法をサービス側と合わせる。

自社で運用する場合には、専門職、事務を担う人、個人情報を守る仕組みが必要です。小規模事業場では、プライバシー保護の観点から外部委託が推奨されています。無料システムを選んだ場合も、設定や問い合わせ対応などを誰が行うか確認します。

受検方法や費用は委託先の選び方で比較できます。実施者が未定でも使える問い合わせ文を用意しています。

実施前にルールと従業員への説明を用意する

実施方法だけでなく、結果の扱い、保存、面接の申出先、操作の問い合わせ先も決めておきます。関係する従業員の意見を聴く機会を設け、会社の方針と社内ルールを周知しましょう。50人未満の会社すべてに、衛生委員会の新設が必要になるわけではありません。

案内には、目的、受検期間・方法、個人結果を誰が扱うか、面接を希望する際の手続を入れます。受検や面接の申出、結果提供への同意などを理由とする不利益な取扱いの防止も伝えます。詳しくは実施後の会社対応で説明しています。

社内ルールをゼロから書く前に、厚生労働省の小規模事業者向け案内にある規程のモデル例等を確認できます。連絡先を記入し、自社の運用に合わせて使います。

20人の会社なら、まずここまで整理する

次は架空の例です。従業員20人・1拠点、総務は兼務、産業医との契約はなく、従業員個人の業務用メールアドレスもありません。

自社の条件 整理した内容の例
人数・拠点 20人・1拠点。受検対象者は契約・勤務条件から確認する
実施時期 検討中
受検環境 個人の業務用メールなし。紙とメール不要のWeb方式を比較したい
既存契約 産業医契約なし。健診機関にも対応可否を聞く
社内窓口 兼務の総務担当
委託したい範囲 実施者を含む依頼と事務代行を検討

実施者・事務・面接指導の依頼先が未定でも、この条件で候補先へ質問できます。候補先の回答と決まった分担を残し、未定の項目には次に確認する相手と期限を添えます。

集団分析を利用したい場合は、部署の人数だけで区切らず、個人が特定されない集計単位も事前に相談しておきます。

実施後の連絡先まで確認して準備する

受検が終わったあとも、本人への通知、面接の申出、医師への依頼、記録の保存があります。準備の段階で「誰に、どの方法で連絡するか」を決めておくと、申出を受けてから探し直さずに済みます。

従業員への案内には、こころの耳の実施後リーフレットも使えます。社内の相談先を追記できる資料です。

内容確認日:2026年10月15日