開業直後は、やることが多すぎます。
設備、仕入れ、焙煎、袋詰め、出荷、問い合わせ対応。
このとき一番起きやすいのが、体の消耗を「気合い」で埋めることです。
最初は回る。けれど、ある日から回らなくなる。
第6話は、根性論をやめる回です。
まず前提を変える:立ちっぱなしは“設計上の無理”として扱う
立ちっぱなしは、頑張りの証拠ではありません。
続くなら、単に「設計が立ちっぱ前提」になっているだけです。
- 休める場所がない
- 座るタイミングがない
- 座ると手順が崩れる
つまり、休憩が「余裕があるときの贅沢」になっている。
これを逆にします。
休憩は“気分”ではなく、手順に組み込む。
休憩は「回復」ではなく「事故予防」
疲れてくると、ミスが増えます。
ミスが増えると、焦りが増えます。
焦りが増えると、事故が増えます。
休憩は、体力の話で終わりません。
安全と品質の土台です。
初期の作業設計で決めるのは、この3つ
難しい制度や記録は、まだ要りません。
最初に決めるのは、この3つで十分回ります。
1) 「座れる場所」を先に作る
“いつか椅子を置こう”は、だいたい来ません。
先に置きます。
- 作業台の横に、邪魔にならない椅子
- 立ち作業の合間に、30秒でも座れる位置
焙煎所だと、椅子は「立ち作業の合間に半分座れるタイプ」か「ちゃんと休む用」の2択で考えると迷いません。
床にチャフや粉が落ちやすいので、転がりやすい椅子(キャスター)は思ったより扱いにくいことがあります。
- おすすめ:半座り(高め)/固定脚(安定)
- 失敗しがち:低すぎて使わなくなる/キャスターでヒヤリが増える
- コツ:まずは「邪魔にならない場所」に置いて、区切りとセットで回す
2) 休むタイミングを「区切り」に固定する
休憩は、時間で決めるより、区切りで決めた方が続きます。
例(焙煎所なら)
- 1バッチ終わったら、一度座る
- 袋詰め10袋で、手を止める
- 出荷をまとめたら、水を飲む
「忙しいから休めない」を、区切りで潰します。
3) “戻りやすい休憩”にする
休憩が続かない最大の理由は、再開が面倒だから。
- 手を止める前に、次の一手だけ置く(豆を量る、ラベルを揃える等)
- 休憩後は、同じ手順から再開できる形にする
休憩は、長さより「戻りやすさ」で回ります。
サイン:休憩が機能していないサイン
- 夕方から、雑な動きが増える
- 同じミスを繰り返す(ラベル、計量、封止)
- 帰宅後、足がだるくて動けない
- 休憩が「思い出した時だけ」になっている
この状態は、意志の問題ではなく、設計の問題です。
忙しい時ほど、これを守って(作業設計編)
「座る場所を作る。区切りで止める。」
明日やること(3つ)
- 作業場所に、座れる場所を1つ作る(“いつか”ではなく今日)
- 作業の区切りを1つ決める(例:1バッチごと/10袋ごと)
- 休憩前に「次の一手」を置いて、戻りやすい形にする
他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/袋詰め=反復作業/出荷=重量物+締切
※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。
