第14話 OJTの最小形:チェックリスト10行で回す(立派なマニュアル不要)

採用直後の現場は、理想と逆になります。
教える側が一番忙しい時期に、教えなければいけない。

ここで起きるのは、能力不足じゃありません。
伝え方が“口頭だけ”になることです。

口頭は、抜けます。
抜けると、事故が起きます。


OJTが回らない原因は「教え方が重い」こと

立派なマニュアルを作ろうとすると、こうなります。

  • 書き始めて止まる
  • 書き終わらない
  • そもそも読まれない

そして現場は、結局「見てて」「さっき言ったよね」になります。
この形は、事故が起きやすい。

OJTで必要なのは、分厚い文章じゃなくて、順番と確認点です。


この回のゴールはこれです

チェックリスト10行で回す。

10行というのは、短くするためじゃありません。
教える側が続けられる目安が、そのくらいだからです。


書くのは3種類(順番・確認・止める)

焙煎所の作業で言うなら、たとえば袋詰めならこう。

  1. 何をする順番か(手順)
  2. どこを見てOK/NGか(確認点)
  3. いつ止めるか(やめる条件)

「いつ止めるか」が入っていると、事故が減ります。
第13話の「止めてOK」が、ここで効きます。


例:袋詰めのチェックリスト(10行のイメージ)

(※項目は職場の手順に合わせて調整してください)

  1. ラベルは今日のロットか
  2. 袋のサイズは合っているか
  3. 計量器はゼロ点を確認
  4. 規定量まで計量
  5. 異物がないか目視
  6. 封止の設定は「いつも通り」か
  7. 封止後に漏れがないか軽く確認(外観/つまんで開かないか)
  8. 印字(賞味期限等)の位置と読めるか
  9. できた物の置き場は決めた場所へ
  10. 迷ったら止める(「一回止めます。見てください。」)

これを紙で貼ると、OJTが軽くなります。


教え方は「一緒にやる回数の目安」を決める

人によって覚える速さは違います。
でも現場は、無限に付き合えない。

だから先に決めます。

  • 最初の2回は並ぶ
  • 次は見守る
  • 最後はひとりで一回やって、OKなら次へ

回数の目安が決まると、教える側も新人側も安心します。
“いつまで経っても不安”が減ります。


チェックリストは「守れない所」から良くなる

最初から完璧を目指さない。
むしろ、守れない所が出たら勝ちです。

  • 行が多すぎる → 削る
  • 書き方が曖昧 → 具体にする
  • 現場と合わない → その場で直す

現場で直せる形にしておくのがポイントです。
紙なら、赤ペンで直せます。


忙しい時ほど、これを守って(OJT編)

「口頭で済ませない。10行に落として一緒にやる。」


明日やること(3つ)

  1. 新人が触る作業を1つ選ぶ(袋詰め/計量/出荷など)
  2. その作業を10行チェックリストにする(順番・確認・止める)
  3. 最初に“回数の目安”を決めて一緒にやる(例:2回は並ぶ)

他業種の読み替え:袋詰め=反復作業/出荷=締切工程/OJT=事故予防の設計

※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。

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