焙煎所の「排気」に関するトラブルは、大きく2種類に分かれます。
(1)作業者の体調に出るもの、(2)近隣に波及するもの。
厄介なのは、これが同時に起きることです。
「自分は慣れた」でも、近隣は慣れません。
排気は「出し方」で決まる
排気は、配管や機械の話に見えますが、実際は「どこへ、どう流すか」です。
同じ焙煎機でも、
出口の位置や向き、店内の空気の流れ、扉や窓の開け方で、影響は変わります。
現地で確認するのは「吸う」と「出す」
専門用語は要りません。2点確認しましょう。
1) どこから吸っているか(室内側)
- 焙煎機まわりの空気が、ちゃんと動いているか
- 熱い空気やにおいが、作業者の呼吸域(顔の高さ)にこもっていないか
- 立ち位置を変えたとき、こもり方が変わる場所がないか(“溜まりポイント”)
2) どこへ出しているか(屋外側)
- 排気の出口が、窓や人の動線に向いていないか
- 近い距離に住居やベランダがあるなら、より慎重に
- 風向きで、においが戻ってくる場所がないか(入口・勝手口・搬入口)
こうなったら「換気が追いついていない」サイン
設備の良し悪しは、体が先に教えてくれます。
- 作業の終わりに 頭が重い
- 喉が いがらっぽい/目が しみる
- 店内に こもる感じが残る
- 扉を開けた瞬間、空気が一気に抜ける(=普段は抜けていない)
この状態は、「そのうち慣れる」で片付けると長引きます。
慣れるのは体のほうで、環境が良くなったわけではありません。
※換気が弱いと、におい・煙だけでなく、一酸化炭素(CO)などのガスが室内に滞留することがあります。焙煎・粉砕などの作業周辺でCOが高くなる例も報告されています。
においの印象は「出口の位置と向き」で変わる
苦情の原因は、においの強さだけではありません。
「どこへ流れていくか」で印象が変わります。
- 風向き
- 建物の配置
- 排気口の高さと向き
- 周囲の窓やベランダ
ここを曖昧にすると、後からの調整が難しくなります。
だからこそ、物件の段階で“出口の未来”を想像しておく価値があります。
忙しい時ほど、これを守って(排気編)
においは慣れない。流して逃がす。
明日やること(3つ)
- 呼吸域のこもりを探す(焙煎機まわりで、顔の高さ)
- 排気の出口を確認する(窓・人の動線・住居との距離、風向き)
- 苦情が出たときの初動を決める(謝る/状況確認/改善の見通しを伝える)
他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/排気=臭気・熱・粉じんの逃がし/出口=近隣リスクの起点
※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。
