第17話 小休止の設計:揉める前に“区切り”を先に決める

1人の時、休むタイミングは「自分の感覚」で決められます。
疲れたら座る。喉が渇いたら飲む。
それで回る。

でも人が増えると、それだけでは回りません。
ここで崩れるのは、意外と「休憩」です。

休憩は、体の問題であると同時に、
「納得感」が崩れやすい問題でもあります。

・忙しい人ほど休めない
・手が空いた人が先に座る
・誰かが我慢して、誰かが気づかない
・最後に「なんで私ばっかり」が出る

この不満は、仕事の話だけではなく、生活に食い込んできます。
体が削られると、気持ちも荒れます。
そして一度荒れると、戻すのに時間がかかります。


ここがポイント:休憩は“制度”だけでなく“作業管理”でも決まる

一般に「休憩」と聞くと、法令上の休憩(6時間超で45分、8時間超で60分)を思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、これは基本として大事です。

ただ、ここで扱いたいのはそれとは別で、
事故防止や身体不調の予防のために、作業を意図して区切る「小休止」の話です。

疲労が溜まると注意力が落ちます。
注意力が落ちると、手元が雑になり、ミスとヒヤリが増えます。
だから「気合で乗り切る」ではなく、「区切りを設計する」が正解です。


※「連続作業を区切る」「小休止を入れる」という発想は、VDT作業等の作業管理でも用いられる考え方です。

ゴールはこれ:「小休止」を“個人技”にしない

店主さんが頑張って声をかける。
新人が気を遣って我慢する。

この形は、長く持ちません。

小休止は、個人の善意ではなく、
「誰が見ても同じ」形に落とします。


最小ルールは3つ(これで揉めにくくなる)

1) 「小休止に入る条件」を先に決める

「疲れたら休んでいい」。これだけでは、結局休めません。
小休止に入る条件を、仕事の“節目”に結びつけます。

例)
・箱が1つ終わったら、水分を一口+口をすすぐ
・封止のまとまり(例:10袋)が終わったら、肩を回す
・焙煎1バッチが終わったら、座って深呼吸する

時間で縛りすぎるより、
現場の流れに沿った「節目」を作る方が回ります。

2) 「止め方」を決める(止められない、を作らない)

小休止が取れない最大の理由はこれです。

手を離せない。

だから、止め方を決めます。
ここでのポイントは、「休むために長く代わってもらう」ことではありません。
いま何が起きているかが分かる形で、いったん止められること。

例)
・「いま小休止入ります」と言って、いったん手を止める
・やりかけの物は“仮置き”に寄せる(机の中央に残さない)
・次に再開する場所が分かるように、メモを1行残す(伝票に〇でもいい)
 メモ例:「封止10/20」「次はラベル」「焙煎2バッチ目から」──これで再開が迷わない。

これだけで、戻った時の迷いが減ります。
迷いが減ると、焦りが減ります。
焦りが減ると、事故が減ります。

3) 忙しい時ほど守る一言を決める

忙しい時ほど、小休止は消えます。
そして忙しい時ほど、事故が増えます。

だから、合言葉を決めます。

忙しい時ほど、いったん区切る。

区切るのは贅沢じゃない。
判断力を戻すための作業です。


焙煎所なら、ここで小休止が崩れやすい

焙煎所は「熱源」と「締切」がある現場です。
小休止が崩れるポイントが分かりやすい。

・焙煎が連続して回っている
・冷却〜排気まわりの対応が重なる
・出荷の締切が迫っている
・問い合わせが割り込む

この時に「後で」が積み上がります。
「後で」は、来ないと思っておく。

だから、先にルールにする。


忙しい時ほど、これを守って(小休止編)

「小休止は“節目で入る”。戻る場所を残して止める。」


明日やること(3つ)

  1. 小休止に入る節目を1つ決める(箱/封止のまとまり/焙煎1バッチ など)
  2. 止め方を決める(仮置き/メモ1行/戻る場所を残す)
  3. 忙しい時ほど言う一言を決める(いったん区切る)

他業種の読み替え:熱源工程/締切工程/小休止=安全の基礎(判断力の回復)

※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。

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