人が増えると、現場で増えるのは作業量だけではありません。
言葉が増えます。
・「あれ取って」
・「いつものやつ」
・「これ、前のやり方で」
1人なら通じる。
でも2人以上になると、ここで詰まります。
そして言葉の混乱は、ミスや事故に繋がります。
事故は「手順」より先に、「言葉のズレ」から始まる
新人が困るのは、作業そのものより、
・同じ物を別の名前で呼ぶ
・同じ作業を別の言い方で指示される
・指示が「あれ」「それ」になる
この状態です。
分からない。でも止めづらい。
結果、分かったふりで動く。
ここが危ない。
例:ラベルの種類を取り違えて貼り、出荷直前で全ロットやり直し——この手の事故は、言葉のズレから始まります。
焙煎所でズレやすい「3つの言葉」
焙煎所は、特に言葉がズレやすい現場です。
1) 物(道具・資材)
「袋」「ラベル」「バルブ(袋の空気抜き)」「スコップ」「計量カップ」
似た物が多い。呼び方も人によって違う。
2) 場所(置き場)
「こっち」「あっち」が増える。
置き場が固定されていないと、探す・取り違える・落とす。
3) 作業(工程)
「詰める」「封する」「閉じる」「シールする」
同じ意味のつもりでも、人によってイメージが違う。
ゴールはこれ:言葉を揃える(増やしすぎない)
現場を回すコツは、難しい言葉を使うことじゃない。
呼び方を揃えることです。
揃えるには、しっかり決める。
・同じ物は、同じ名前
・同じ作業は、同じ動詞
・同じ場所は、同じ呼び方
まず決めるのは「名札」:物・場所・工程に名前を付ける
やることはシンプルです。
物:見えるところに名前を書く
テプラでも紙でもいい。
「計量スプーン」「封止トング」みたいに、誰が見ても分かる名前にする。
場所:置き場を名前で固定する
棚に「袋」「ラベル」「伝票」
床置きなら「仮置き」「梱包待ち」
名前がつくと、片付けが“指示”じゃなく“戻す”になります。
工程:動詞を1つに揃える
例として、袋詰めなら
・詰める(計量して入れる)
・封する(封止する)
・貼る(ラベル)
・出す(出荷)
このくらいで十分です。
「あれ」「それ」を減らすと、事故が減る
言葉が揃うと、指示が短くなります。
・「袋、封して、ラベル貼って」
・「封が甘いから、一回止めて見せて」
・「仮置きに置いて」
曖昧さが減ると、迷いが減る。
迷いが減ると、焦りが減る。
焦りが減ると、事故が減ります。
忙しい時ほど、これを守って(言葉編)
「指示は名詞+動詞で言う。あれ、それ、を減らす。」
明日やること(3つ)
- 現場で“言い方が割れている言葉”を5つ拾う(物/場所/作業)
- その5つの呼び方を決める(紙に書いて貼る)
- 指示は「名詞+動詞」で言う(例:袋を封する/ラベルを貼る)
他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/袋詰め=反復工程/出荷=締切工程/言葉の統一=安全の基礎
※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。
