第20話 仕組みが増えすぎる:足すより“削る”が強い

現場が回り始めると、ルールが増えます。
チェック、メモ、注意事項、例外対応、貼り紙。
どれも「一度は効いた」ものです。

でも、増え続けると逆に壊れます。

  • 読まれない
  • 守られない
  • 例外だらけになる
  • 結局、現場の勘に戻る

ここで起きているのは、意識の問題ではありません。
仕組みの量が、現場の処理能力を超えています。

第20話は、足す話ではなく、削る話です。


仕組みは「守るもの」と「整えるもの」に分ける

守る基準は下げない。守れる形に絞る。

全部を同じ重さで抱えると、いちばん大事なところから崩れます。
だから、「守る基準」に直結するものを「守る」に残す。
それ以外は、まとめる/場所を統一する/いまは外す、で整理します。


焙煎所×ECで、増えがちなルール(あるある)

(例:あなたの現場で当てはまるものだけ拾えばOKです)

  • ラベルや賞味期限のチェックが、項目だらけになる
  • 清掃の手順が、細かくなりすぎて続かない
  • 梱包の注意点が増えて、誰も読まなくなる
  • 問い合わせ対応の例外が積み上がる
  • 「念のため」確認が増えて、手戻りが増える

増えたルールは、減らさない限り増え続けます。


削る時のコツ:「守る/まとめる/外す」に分ける

削るのが苦手な人ほど、ここを分けると進みます。

1) 守る(守る基準に直結)

  • 出荷の守る基準
  • 衛生・安全の守る基準
  • 休息の守る基準

ここは削りません。
ここが崩れると、事故か大きな手戻りに繋がります。

2) まとめる(言い方・場所を統一)

増えたルールの多くは、「同じ話」が別の場所に書かれています。

  • 似た注意書きを、1枚にまとめる
  • 置き場を1か所に寄せる
  • 呼び方を揃える(第16話)

“量”ではなく“配置”を直すだけで回ります。

3) 外す(いまは運用に乗せない)

効果が薄いのに、手間が大きいものは外します。

「やった方がいい」は、いくらでも増やせます。
現場が回るのは、「いまはやらない」を決めた時です。


「守る」を守るために、「外す」を決める

削る目的は、ラクをすることではありません。
守る基準を、確実に通すためです。

忙しい日ほど、全部を抱えると崩れます。
だから、守る基準以外は外していい。

これを言葉にしておくと、現場が荒れません。

例)
「忙しい日でも、守る基準は崩さない」
「例外対応は、増やさない(必要事項だけ返す)」
「チェックは3点に戻す」


増えすぎた仕組みは、事故の前触れ

仕組みが増えると、焦りも増えます。
焦りが増えると、声が荒くなり、動きが速くなり、確認が雑になります。

第20話の結論はこれです。

足すより、削る。
削って、守る基準を崩さない。
それが一番強い運用です。


忙しい時ほど、これを思い出す(削る編)

「増やす前に、外す。」


明日やること(3つ)

1) 見る:貼り紙/チェック/注意事項を写真に撮り、数を数える(まず現実を見る)
2) 決める:「守る基準に直結しないもの」を3つ選び、“いまは外す”と書く
3) 直す:外すと決めた3つを、実際に外す(貼り紙を外す/手順を1枚にまとめる/置き場を1か所に寄せる)


他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/梱包=出荷工程/貼り紙=ローカルルール/守る基準=運用品質の床

※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。

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