人が増えると、現場に「小さな違和感」が増えます。
そして、その違和感は放っておくと育ちます。
事故は、こういう形で近づきます。
「危ないかも」と思った
↓
でも忙しい
↓
まあ大丈夫だった
↓
次も大丈夫だった
↓
そして、その日は突然来る
ここで差がつくのが、ヒヤリハットです。
ヒヤリハットは“事故の手前”ではなく“改善の材料”
ヒヤリハットというと、
「危なかった話」を集めるものに見えます。
でも本当は違います。
ヒヤリハットは、
現場の“詰まり”と“欠け”を見つける材料です。
・どこで迷ったか
・どこで焦ったか
・どこで無理をしたか
・どこで見落としたか
ここが見えれば、事故は減ります。
問題はここ:集まらない(そして、集めても使われない)
ヒヤリハットが回らない現場には、よくある落とし穴があります。
1) そもそも出ない
2) 出ても、そのまま
出ない理由は、こういうものです。
・怒られる気がする
・自分が悪いと言われそう
・忙しいのに、書くのが面倒
・出しても何も変わらない
出した瞬間に「誰がやった?」が始まる現場では、誰も書けません。
つまり、ヒヤリハットは、
「頑張って出すもの」ではなく、「自然に出る形を作るもの」です。
ゴールはこれ:毎週1つを確実に潰す(大げさにしない)
ヒヤリハットは、集めすぎると止まります。
そして「管理が増えた」になって嫌われます。
ゴールは、毎週1つを確実に潰す。
これで回ります。
最小の仕組み(これで回る)
1) 1行で出せる形にする
長文はいりません。
フォーマットは1行で十分です。
いつ/どこで/何がヒヤッとした(または困った)
例)
・朝の焙煎前、排気の音がいつもと違った
・袋詰め中、封止が甘くてやり直しが増えた
・段ボールの角で指を擦った(手袋を外していた)
「事故になってない話」ほど価値があります。
2) “責めない”を先に宣言する
これが無いと、出ません。
店主さんが最初に言う一言はこれ。
出してくれた人が偉い。責めない。直すのは仕組み。
これで空気が変わります。
3) 共有は短く終わらせる
共有が長いと、続きません。
週1回、5分。
・今週のヒヤリを1つ読む
・「原因」より「次どうする」を決める
・やることは1つに絞る(貼る/置く/言い方を揃える)
4) “潰した証拠”を残す(写真でOK)
記録は立派じゃなくていいです。
スマホの写真で回ります。
・貼ったラベルを撮る
・置き場の写真を撮る
・メモを撮る
「やった感」ではなく、
「やった証拠」があると回ります。
焙煎所なら、ヒヤリが出やすいのはここ
焙煎所のヒヤリは、工程の境目で出ます。
・焙煎前(排気・火・準備)
・冷却〜排気(熱・におい・チャフ)
・計量〜封止(反復・手元・焦り)
・梱包〜搬出(腰・落下・通路)
そして、焙煎所は「いつもと違う」が強い現場です。
音、におい、熱、煙。
違和感は、事故の手前で出やすい。
忙しい時ほど、これを守って(ヒヤリ編)
「ヒヤリは1行。毎週1つを潰す。」
明日やること(3つ)
- ヒヤリの出し方を1行にする(いつ/どこで/何が)
- 「責めない」を先に言う(出した人が偉い)
- 週1回、5分で1つ潰す(貼る/置く/言い方を揃える)
他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/封止=反復工程/梱包=出荷工程/ヒヤリ=改善の材料
※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。
