第18話 ヒヤリハット:集め方を仕組みにする(責めない・共有・潰す)

人が増えると、現場に「小さな違和感」が増えます。
そして、その違和感は放っておくと育ちます。

事故は、こういう形で近づきます。

「危ないかも」と思った
 ↓
でも忙しい
 ↓
まあ大丈夫だった
 ↓
次も大丈夫だった
 ↓
そして、その日は突然来る

ここで差がつくのが、ヒヤリハットです。


ヒヤリハットは“事故の手前”ではなく“改善の材料”

ヒヤリハットというと、
「危なかった話」を集めるものに見えます。

でも本当は違います。

ヒヤリハットは、
現場の“詰まり”と“欠け”を見つける材料です。

・どこで迷ったか
・どこで焦ったか
・どこで無理をしたか
・どこで見落としたか

ここが見えれば、事故は減ります。


問題はここ:集まらない(そして、集めても使われない)

ヒヤリハットが回らない現場には、よくある落とし穴があります。

1) そもそも出ない
2) 出ても、そのまま

出ない理由は、こういうものです。

・怒られる気がする
・自分が悪いと言われそう
・忙しいのに、書くのが面倒
・出しても何も変わらない

出した瞬間に「誰がやった?」が始まる現場では、誰も書けません。

つまり、ヒヤリハットは、
「頑張って出すもの」ではなく、「自然に出る形を作るもの」です。


ゴールはこれ:毎週1つを確実に潰す(大げさにしない)

ヒヤリハットは、集めすぎると止まります。
そして「管理が増えた」になって嫌われます。

ゴールは、毎週1つを確実に潰す。

これで回ります。


最小の仕組み(これで回る)

1) 1行で出せる形にする

長文はいりません。
フォーマットは1行で十分です。

いつ/どこで/何がヒヤッとした(または困った)

例)
・朝の焙煎前、排気の音がいつもと違った
・袋詰め中、封止が甘くてやり直しが増えた
・段ボールの角で指を擦った(手袋を外していた)

「事故になってない話」ほど価値があります。

2) “責めない”を先に宣言する

これが無いと、出ません。

店主さんが最初に言う一言はこれ。

出してくれた人が偉い。責めない。直すのは仕組み。

これで空気が変わります。

3) 共有は短く終わらせる

共有が長いと、続きません。
週1回、5分。

・今週のヒヤリを1つ読む
・「原因」より「次どうする」を決める
・やることは1つに絞る(貼る/置く/言い方を揃える)

4) “潰した証拠”を残す(写真でOK)

記録は立派じゃなくていいです。
スマホの写真で回ります。

・貼ったラベルを撮る
・置き場の写真を撮る
・メモを撮る

「やった感」ではなく、
「やった証拠」があると回ります。


焙煎所なら、ヒヤリが出やすいのはここ

焙煎所のヒヤリは、工程の境目で出ます。

・焙煎前(排気・火・準備)
・冷却〜排気(熱・におい・チャフ)
・計量〜封止(反復・手元・焦り)
・梱包〜搬出(腰・落下・通路)

そして、焙煎所は「いつもと違う」が強い現場です。
音、におい、熱、煙。
違和感は、事故の手前で出やすい。


忙しい時ほど、これを守って(ヒヤリ編)

「ヒヤリは1行。毎週1つを潰す。」


明日やること(3つ)

  1. ヒヤリの出し方を1行にする(いつ/どこで/何が)
  2. 「責めない」を先に言う(出した人が偉い)
  3. 週1回、5分で1つ潰す(貼る/置く/言い方を揃える)

他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/封止=反復工程/梱包=出荷工程/ヒヤリ=改善の材料

※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。

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