第21話 データ疲れ:取る/捨てるの線引き(目的を固定する)

現場が整ってくると、次に増えるのがデータです。
数字、記録、チェック、メモ、写真。
「見える化」は効きます。最初は。

でも、増え続けると疲れます。
記録することが目的になって、現場が止まる。
これがデータ疲れです。

第21話は、「データを増やす」話ではありません。
取るものを決めて、捨てるものを決める話です。


データは「意思決定のため」に取る

データは集めるためにあるのではなく、
次の判断を速くするためにあります。

なので最初に決めるのは、項目ではなく目的です。

  • 何を守るためのデータか(守る基準)
  • 何を変えるためのデータか(改善)
  • 何を止めるためのデータか(異常の検知)

目的が決まると、取るものは自然に減ります。


データは3種類に分けると回る

第20話の「守る/まとめる/外す」と同じ発想です。

1) 守るためのデータ(異常を見つける)

守る基準に直結するものだけ。

例)

  • ラベルミス/重量ズレ/封の不良(出荷の異常)
  • チャフや粉じんの堆積が増えている(衛生・安全の異常)
  • 寝不足が続いている/休息が飛んでいる(休息の異常)

“増えたら止める”ためのデータです。

2) 改善のためのデータ(週1で直す)

毎日取ると疲れます。
週1で十分なものは、週1にします。

例)

  • 手戻りの原因トップ1
  • 作業が詰まった場所トップ1
  • 片付けが負けた場所トップ1

「毎週1つだけ直す」に使うデータです。

3) 記録として残すデータ(あとで説明する)

毎日見なくていい。
でも、後で説明が必要になった時に助かります(社内共有/取引先/問い合わせ対応)。

例)

  • 月1の定点写真(排気まわり/冷却まわり/床の1か所)
  • ルール変更の履歴(何を外した/何を残した)

“説明できる状態”を作るデータです。


取らないデータを決める(これが一番効く)

データ疲れの原因は、「念のため」です。

  • 念のため全部記録
  • 念のため全部チェック
  • 念のため毎日数値化

これをやると、現場が先に折れます。

だから第21話の核心はここです。

「取らない」を先に決める。

取らないのは手抜きではなく、「見るべきものに集中する」ためです。

例)

  • 毎日取らない(週1で足りるものは週1)
  • 迷う項目は取らない(目的が決まるまで保留)
  • 見返さない記録は取らない(取るなら使う)

データの目的は、現場を軽くすること

データは、増えるほど偉いわけではありません。
減って、判断が速くなるほど強い。

第21話の結論はこれです。

データは「目的」を固定する。
目的が決まれば、取るものは減る。
減らして、判断を速くする。


忙しい時ほど、これを思い出す(データ編)

「取る前に、使い道を決める。」


明日やること(3つ)

1) 見る:今取っている記録を並べ、最後に見返した記憶があるかを○×で付ける
2) 決める:目的が言えない記録を3つ選び、“いったん取らない”にする
3) 直す:「守る/改善/記録」の3箱に分け、置き場(保存場所)を決める


他業種の読み替え:焙煎=熱源工程/データ=記録とチェック/定点写真=異常検知のスイッチ/守る基準=運用品質の床

※本連載は、複数の現場の“あるある”を詰め込んで一般化し、分かりやすさのために再構成した架空の設定です。

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